今年の海外研修旅行はロンドンでした。
私自身、海外旅行は初めてでしたので、ロンドンのすべてが新鮮で、
その中でもいちばん印象的だったのはやはりロンドンの街並みでした。
ヨーロッパの国々の街並みは石造りや煉瓦造りが有名なことは以前から知っていたのですが、
実際に行ってみると、まるで別世界に来たような感覚に心を奪われました。
ロンドンは、1666年 ロンドンの大火を機に再建法や条例が定められました。
新しい建築物は『石造り又は煉瓦造り』とされ、木造の建築を禁止し、建物の景観や高さ等厳しく規制されたようで、
現在の街並みはこのような背景により、石造りや煉瓦造りが中心に構成されたようです。
また、ロンドン市内を歩いていると、自然史博物館のようなロマネスク様式の建物や、
セントポール大聖堂のようなバロック様式の建物など、様々な建築様式の建物を見ることができます。
ロンドンの人々は、古きものを良しとする嗜好があり、新しい建物より古い建物を好みます。
そのためロンドンは17世紀から現代にいたるまでの約500年の間、建物の建て替えはほとんどおこなわれず、
現在までその時代ごとに流行した建築様式で建てられた建物が残り、様々な建築様式が混在する街となったそうです。
そのため、市内を歩くだけで、時代を旅しているような感覚を味わえる素晴らしい街でもあります。
ところが、近年、ロンドンでは「The shard」のような超高層な近代的な建物が建ち始めています。
高さや景観を厳しく規制さてれているなか、なぜこのような建物が建つのか!?
その理由が気になり、探ってみるとロンドンの面白い街づくり事情が見えてきました。
景観規制の一つに『セントポール大聖堂の姿が隠れるような、建築物を建築してはならない。』というものがあります。
これは、大火災後に再建し、復興の象徴となったセントポール大聖堂のドームが、
ロンドンの各所8つのポイントから見えるように建物の高さを抑えるという制限で、
この8つのポイントとドームを結ぶラインを『ビュー・コリドー』と言いい、
この『ビュー・コリドー』を遮るような高さの建築物は建てられないのです。
この規制がロンドンに超高層建築物が建てられない理由でした。
しかし、この『ビュー・コリドー』には『死角』になる部分があるそうで、
その範囲には規制がかからないため、高層建築物を建てることができるそうです。
そのため現在のロンドンは、建て替えられることなくいまも使い続けられている古い建物と、
次々と建てられていく近代建築物が混在する街になっています。
このようにロンドンは歴史や伝統を継承しながら、近代的な街を作り出す面白い街でした。
歴史や伝統を継承し後世に残していくことはとても重要なことですが、
近年の急速な経済発展に対応していくことも重要です。
私たちアグレ都市デザインのグランドコンセプトは
『日本の伝統を継承しつつ、最新のテクノロジーで人や環境に優しく
機能的にデザインされた都市と住まいを創造すること』です。
自分も伝統を継承しつつ、新しい知識を深め、スキルを磨いて
その時代、その時にベストな住宅を供給できるよう努めて行こうと思います。
設計チーム 田澤
参考