住宅をご購入される際には、物件本体の価格と共に『諸費用』が必要です。
他にも、新居へのお引越し費用や、エアコン、カーテン等何かと物入りになるので、資金計画をたてる際には、『物件価格』+『諸費用』の全体像を把握してから、住宅ローンを含めて資金計画を考えることが望ましいです。
諸費用は、おおよそご購入される物件の価格の5%~10%前後とされています。
「土地付分譲住宅」や「新築分譲マンション」の場合には、建物のお引渡しの際に諸費用を支払うことになりますが、「土地をご購入して注文住宅をされる場合」や「中古住宅をご購入してリフォームされる場合」際には、土地や建物を先行決済するので、実際にお引越しされるまでに支払う、先行ローン期間の費用も含めて費用を計算する必要があります。
ここでは、弊社の新築分譲住宅の場合の諸費用でご説明していきます。
諸費用には、主に、印紙税等の税金や司法書士が法務局に登記手続きを行う際の手数料、住宅ローンをお借入される際の費用などが含まれます。
- 印紙代
- 登記費用
- 固定資産税清算金
- 住宅ローン借り入れ費用
- 保険料
これらが諸費用の大まかな内訳です。
印紙代とは?
不動産売買契約書に貼付する印紙税のことです。
物件のご契約価格により、納付すべき印紙税が変わります。なお、2021年5月現在は不動産の譲渡に関する契約書について、印紙税の軽減措置が講じられ、税率が引き下げられています。
軽減措置の対象となる契約書は、不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成されるものになります。
ご契約書に調印頂く際に、印紙に割り印をしていただくことで納税します。
1千万円を超え5千万円以下のもの | 本則税率 2万円 | 軽減税率 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 本則税率 6万円 | 軽減税率 3万円 |
登記費用とは?
登記とは公に不動産の権利を示すものとして、登記簿に記載する為に、司法書士が法務局に登記の手続きを行います。ご購入された不動産の権利を守る為にも、大切な手続きです。
新築分譲住宅をご購入する際に必要となる登記は、下記のように複数あります。
建物の表題部登記(新築建物をはじめて登記する際に表題部をつくる登記)
建物の所有権保存登記(所有の権利を明示する登記)
土地の所有権移転登記(売り主から買主への移転を明示)
抵当権設定登記(住宅ローンをお借入される場合)
■表題部登記とは
建物を新築した際には、これまでにまだ登記が無い状態ですので、登記簿の一番はじめの部分に、どこに所在するか・どんな種類や構造でどの程度の広さか、などを表示する「表題部」をつくります。
登記を行う際には「登録免許税」という税金を納めます。
税額は所有権の場合、土地と建物の固定資産税評価額により決まります。
■土地の所有権移転登記
所有権の保存登記にかかる税率は、売買の場合、1,000分の20ですが、令和5年3月31日までの間に登記を受ける場合、1,000分の15に軽減されています。
■建物の所有権保存登記
これまで建っていなかった新築の建物の価格については、売買契約の価格ではなく、
東京都内の場合『東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表』に基づき、計算します。
例えば、新築建物・木造で総床面積100㎡の建物の課税価格は、
1㎡あたり@102,000円×100㎡=10,200,000円
本則では、所有権保存登記の登録免許税は、1,000分の4ですが、
自己居住用・マイホームの場合には現在軽減税率※となり、
10,200,000円×0.0015(税率)=15,300円(通常)
10,200,000円×0.001(税率)=10,200円(認定低炭素住宅の場合)となります。
その他に含まれる費用は「登記手数料(司法書士への報酬)」・表題登記を行う際の「土地家屋調査士への調査費用」です。
また、住宅ローンをお借入される際にはお借入される金融機関の担保として、土地と建物の双方に抵当権が設定される費用も含まれます。お借入される債務者の人数や、お借入額により増減します。
※国税庁 登録免許税の税額表より
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
固定資産税清算金とは?
毎年1月1日時点の土地・家屋の所有者に請求が来る『固定資産税・都市計画税』
固定資産の価格をもとに算定される税額を、その固定資産の所在する市町村(※東京23区の場合は東京都)が課税する税金です。
1月1日時点の所有者である売主が1年分を先に支払っている状況になるため、売買の際にはお引渡し日以降の日割り計算で買主負担となります。
ご購入された翌年から支払う税額の目安にもなりますので、確認しておきましょう。
住宅ローンの借り入れ費用とは?
住宅ローンをお借入される際には、
・保証料
・事務手数料
・印紙税
・団体信用生命保険料 など
■保証料と事務手数料
保証料とは、住宅ローンの保証を行う会社に支払う費用です。
ローンの返済が滞った場合に、保証会社が代わってローン残高分を金融機関に支払います。その場合、返済先が保証会社に代わります。保証会社は、連帯保証人の代わりとも言えます。
この保証料は、お借入される際の金融機関や会社ごとに異なり、お借入年数や額が少ないほど安くなります。
金融機関によっては、保証料が無料で、事務手数料を代わりに支払う商品もあります。
保証料は借り入れされたローンの保証となるものですので、「お借換え」や「繰り上げ返済」をされる際には一部返済の際に返却されますが、事務手数料の場合は繰り上げ返済をしても返却はありません。
(※ただし、10数年程度で繰り上げ返済される場合でないと、保証料で返還される金額は大幅に減少するので、返還される額を含めてローンを比較検討される際には注意が必要です。この返還率の詳細は、どの金融機関でも一般的に公開されていません。)
たとえば、フラット35などは、保証料が無料で事務手数料を支払う商品です。
それぞれ金融機関が提供する商品により、住宅ローンの金利も異なりますので、金利と共に、借り入れにかかる費用をトータルで比較検討しましょう。
■金銭消費貸借契約における印紙税
ここに記載する印紙税は、上記の不動産売買契約書とは別途で、お借入される際に結ぶ『金銭消費貸借契約書』に貼付する印紙税です。住宅ローンでお借入される金額により異なります。
例えば、5,000万円を超える場合には6万円、5,000万円のローンを組まれるご契約の際には2万円の印紙税となります。
ご夫婦のペアローンで、3,000万円ずつをお二人でお借入される際には、お二人それぞれ2万円ずつとなります。(2021年5月時点)
■団体信用生命保険料
住宅ローンの債務者が死亡した際、または、高度障がいになられた時に、保険会社が住宅ローンを全額返済するための保険料です。ほとんどの商品では加入が必須で、住宅ローンの金利に含まれていることが多いのですが、
保証が手厚い特約をつける場合や、加入前に持病などがある場合には金利条件などが変わります。詳細はこちらの記事もご確認ください。
保険料の内訳は?
■火災保険
住宅ローンを組まれる際には、火災保険の加入がほぼ必須となっています。建物も、住宅ローンをお借入される担保となる為です。
火災の他、水災・風災・盗難などを対象としています。建物の他に、家財を補償する保険もあります。
■地震保険
また、地震に伴う火災や津波は、別途地震保険への加入が必要です。地震保険の期間は最長5年とされており、更新が必要です。耐震等級により、割引があります。
その他の保険の特約内容も、検討しておくと安心です。
お住いになられた後に、ご相談いただくケースとしては、
『お子様が遊んでいた際に、ボールを投げたところお隣の家を傷つけてしまった』
『洗濯物を干していたらバランスを崩し、網戸に誤って手をついてしまい、壊してしまった』
『車を停めるときに誤ってフェンスにぶつかってしまった』というような、
気を付けていても、うっかりおきてしまうような事故の際にも、補修工事費用が火災保険の特約で賄えることもあります。
初期費用としては、なるべくコストを抑えたいところではありますので、万が一に備えて、ハザードマップを確認したり、無駄が無いように内容を吟味し、補償内容を把握しておきましょう。
補償内容とコストがご自身に合ったものになるよう、いくつかのプランを比較検討することをお勧めします。
物件の価格だけではなく、しっかりとかかる費用全体を把握した上で資金計画を立て、安心して物件選びを進めていきましょう!