バルセロナで活躍した建築家アントニ・ガウディをご存知ですか?
着工から100年以上経った今でも未完成の世界遺産、サグラダ・ファミリアを設計したことで有名です。
ガウディは1852年にスペイン・カタルーニャ地方で生まれました。バルセロナ建築高等技術学校で建築を学び、曲線や細かい装飾が特徴的な建築を多く設計し、現代に至るまで多くの建築家や芸術家に大きな影響を与えています。
コロナが明けて5年振りとなった今年の海外研修旅行先は、スペイン・バルセロナ。
建築に触れる人間としては、バルセロナといえば真っ先にガウディが思い浮かびます。
旅行1日目は世界遺産に登録されているガウディの建築群を巡りました。
海外旅行自体が初めてだった私は、日本とは全然違う街並みに心が躍りました。
360度どこを見てもおしゃれな街並みを少し歩いて、最初に向かったのは「カサ・バトリョ」です。
ステンドグラスやタイルが印象的なこの建物は、随所に細かい工夫が施されています。
自然光を取り入れることが難しい空間において、疑似的な窓を配置することで明るさが表現されており、吹き抜けに装飾されたタイルは上部にいくほど色を濃くすることで奥行きが感じられるようになっていました。
次は「グエル邸」へ。
バルセロナの大富豪、グエル伯爵がガウディに依頼して設計された邸宅です。
外観はガウディにしては珍しくシンプルですが、これは周りの街並みと調和させるためだそうです。
中に入ると、赤い絨毯の敷かれた階段が目を惹くエントランスホールが広がります。 木材の細かい彫刻や美しいステンドグラスが印象的でした。
お昼ごはんで地中海料理に舌鼓を打ったあとは、「グエル公園」を見学しました。
カラフルなトカゲのオブジェが有名なこちらは、グエル伯爵とガウディで「自然と芸術が融合した住宅地」として計画されました。
しかしその思想は当時の人々には受け入れられず、グエル伯爵の没後に工事は中断、その後市の公園として寄付されました。
バルセロナの街を一望できる広場は、ガウディの協力者であるジュゼップ・マリア・ジュジョールが作った波状のベンチで囲まれています。
トレンカディス(破砕したタイルで曲面を装飾する手法)で彩られたこのベンチ。デザイン性もさることながら、体の曲線を考えて作られているため、腰痛持ちの私でも長時間座っていられそうなくらい座り心地が良いものでした。
最後は「サグラダ・ファミリア」です。
雑談しながらぼーっと歩いていたのですが、ふと見上げるとサグラダ・ファミリアが目の前にあり、圧倒されたのを今でも鮮明に覚えています。
カトリック教の教会として計画され1882年に着工。意見の対立により翌年には初代設計者が辞任し、当時無名だったガウディが2代目として設計を引き継ぎました。資金不足などが原因で工事がなかなか進まなかったものの、ガウディの没後100年となる2026年に完成予定として発表されています。
ファサード(正面から見た建物の外観)の彫刻がとても細かく壮大で、東西で印象が大きく異なります。
東側の「生誕のファサード」では、イエス・キリストの誕生から初めての説教を行うまでの逸話が表現されています。
また、西側の「受難のファサード」には、キリストの最後の晩餐から磔刑、昇天までの有名な場面が彫刻されています。
これらの彫刻には日本の彫刻家、外尾悦郎さんが1978年から携わっているそうです。これほどの有名建築に日本人が関わっているとは知らなかったので、驚くと同時に、同じ日本人として嬉しさを感じました。
ファサードを抜けて中に入ると大空間が広がっており、色とりどりのステンドグラスが天井を鮮やかに照らしていてとても綺麗でした。
私たちアグレ都市デザイン ハウジング事業は「探求家が創る家と街」をスローガンとして掲げ、「探求家で在る。」ことをモットーとしております。
ガウディの建築は装飾の細かさ・美しさだけではなく、自然との調和や空間の見せ方、人間の体に合わせた作りなど多方面において考えられており、今なお後世に影響を与え続ける所以を感じました。
私もガウディのように、人に寄り添い長く愛される住宅を設計できるよう探求し続けていきたいと思います。
設計:舘花