日増しに秋の気配を感じる季節となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
先月の上旬に、私たちアグレ都市デザインはラスベガスとニューヨークへ研修旅行に行って参りました。
今回は私も参加し、ラスベガスの活気のある夜の街や、グランドキャニオンの広大な自然、
そして世界一の経済都市ともいえるニューヨーク・マンハッタンのエネルギーを感じる事が出来ました。
今回のブログでは、前回の記事でご紹介しましたニューヨークのハイラインについて、
実際に視察した印象をお伝え致します。
前回の記事:ハイライン
ハイラインとは、廃線をリノベーションした線形状の公園で、
ニューヨークのチェルシー地区と現在再開発中のハドソンヤード地区を結ぶ遊歩道でもあります。
ハイラインは三段階の期間を設けて開発されており、
下の画像のSection1がチェルシー地区、Section3の部分がハドソンヤード地区にあたります。
ハドソンヤード地区の再開発は2020年頃に一段落すると思われます。
現在は、年間500万人もの人々が訪れるほど、人気の場所となっています。
地上から鉄製の簡易的な階段でハイラインに上がっていくと、
高架上でしか見る事の出来ないニューヨークのダウンタウンの街並みが目に入ってきます。
私が訪れた時は、土曜日ということもあるのか想像以上に賑わっており、
行き交う人々の間を歩くと床に敷き詰められて木の温もりが心地よく、空から降り注ぐ太陽の光と、
時折、肌をかすめる風が清々しい気分にさせてくれます。
ハイライン=空中庭園には、高層ビルに挟まれたアスファルトの地上では、
体験できない感動があります。
また、ハイラインの空間に着目してみると、植栽帯の一部にレールが取り入れられていました。
ハイラインにある植栽は、新しく植えられた植栽に加え自生されていたものをなるべく残してあります。
日々のメンテナンスによって、一年を通じて美しい景観を保っているそうです。
レールの周囲から草木が生い茂っているこの風景は、
廃線となっていた当時の風景を感じさせるものでした。
レールはベンチにも再利用されており、移動式ベンチは、繋げて二人用に、
距離を離して一人用にと多様な使い方が可能となっており、
設計者の工夫や遊び心を感じとることができました。
ハイラインにはこのように、様々な仕掛けが施されており、
全体的にとても魅力的な公共空間だと感じました。
ハイラインがただの緑地兼遊歩道であった場合、現在のような賑わいは得られなかったでしょう。
日本の公共空間は未だ単調な計画が多く、
誰一人として存在しない公園や安らぎを感じられない広場をよく見かけます。
日本にもハイラインのように人々を魅了する、工夫を凝らした公共空間がもっと増えて欲しいものです。
住宅においても、生活するためだけの単純な箱の設計をするのではなく、
光と風を感じながら居心地が良く暮らしやすい住宅を設計する事を今後も心掛けたいと思います。
その他、ハイラインの周辺には特徴的な建築が多く存在しています。
ザハハディドの遺作となる「520W 28th street by Zaha Hadid」というコンドミニアムも建設中でした。
日本の表参道のように、ハイラインには世界の有名建築家の手掛ける建築群が立ち並ぶと思われます。
ザハハディドの遺作の奥がハドソンヤード地区となっており、
前回の記事で触れました「スパイラル」や、
日本企業では三井不動産が出資している「55ハドソンヤード」などの高層オフィスが建設中で、
同社は「50ハドソンヤード」の開発プロジェクトにも参画する予定となっています。
この再開発の現場が今後どうなるか、非常に楽しみです。
できれば、個人的に再度、訪問したいと思っています。
次回はこのハドソンヤード地区の再開発の一つである、
海外設計事務所のBIGが設計した「スパイラル」について、お話したいと思います。
設計 渡邊