住宅の耐震性

熊本地震の被災者の皆様へ
このたびの熊本県を中心とする地震により
被災された方々に謹んでお見舞い申し上げるとともに、
お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
また、一日も早く被災された皆様が
平穏な日々を取り戻せるよう心よりお祈り申し上げます。

東日本大震災からまだ5年。
東北の復興もままならぬこの時期に熊本で地震が起きました。
本震だけではなく余震の多さと強さにも驚くとともに
報道等では、熊本の被害報道ばかりですが、
被害は大分にまで及んでいる状況です。

この地震による、家屋被害の状況が分かってきました。
最大震度7を観測した熊本県益城町では700棟以上が全壊で
1981年以前に建てられた古い家屋の被害が目立つています。
木造住宅の耐震性能は、1981年より前の旧耐震基準と、
81年の新耐震基準導入以降で大きく異なります。
建築基準法が改正された81年に住宅の耐震基準は引き上げられ
それまでの「震度5強で損傷しない」から「震度6強~7でも倒壊しない」と
より耐震性を求めるものとなりました。
阪神淡路大震災でも81年以前の耐震性が不十分な建物での倒壊家屋が多く見られたため
住宅の耐震化率の向上は全国的な課題となっています。

阪神淡路や東日本の地震の被害報告からも
現行の建築基準法で公庫の仕様通り施工していれば、
ほぼ倒壊はないと考えられていたのですが、、
熊本の地震では、新耐震の住宅も倒壊していることが解りました。

熊本での地震では、最大震度が6弱を超える地震が7回、
一番強い揺れが襲ったのは、16日1時25分の地震です。
それに先だって、14日21時26分に震度7、15日0時3分に震度6強の
地震が発生しています。
この2つの地震の後で、最も大きな地震が起き、多くの住宅が倒壊したのです。
その中に、新耐震の住宅が含まれていました。

それは、なぜか?

残念ながら、現行の耐震基準では、何度も強い揺れを受けることを想定していないからです。
一回目の震度7の地震に耐えた新耐震住宅は倒壊は免れたとしても
ヒビや歪み、構造部の劣化は起きています。
そこに、2度目の震度7の揺れが起きたために倒壊したと考えられます。

数百年に一度発生すると想定される強い揺れに対しては、
多少建物が損壊しても、人命を守れれば良しとているのが現行の基準であり
地震の連鎖・繰り返される揺れまで考えると
より強い住宅の設計を指向する必要があります。
一生のうちに遭遇するかどうかわからない震度7以上の大地震と思っている災害に対して、
過去の地震による被害状況も改めて振り返りますと決して油断してはならない現状を思い知らされます。

当社の2階建て建売住宅は、構造計算をし耐震等級3(一部等級2)相当で設計していますので、
建築基準法より地震に対してより強く施工されています。
また、施工は在来工法ですが、外周部には構造合板を張り、
ツーバイの住宅のように合板で箱のようにで囲んであります。
これにより通常の在来より強い施工となっています。

日本の歴史は復興の歴史かもしれません。
これからも、外観や内部空間等の住みやすいだけの住宅ではなく
より安心できる住宅を目指して日々努めていかなければいけないと
熊本地震で改めて考えさせられました。

九州地方の地震の収束、被災地の一刻も早い復興を願っています。
また、復旧に携わっておられる方々に感謝しています。

※耐震等級1(建築基準法同等) 
  数百年に1度発生する地震(震度6~7程度)の地震力にたいして倒壊、崩壊せず、
  数十年に1度発生する地震(震度5強程度)の地震力に対して損傷しない程度

※耐震等級2
 等級1の地震力エネルギーの1.25倍でも倒壊、崩壊しない

※耐震等級3
 等級1の地震力エネルギーの1.5倍でも倒壊、崩壊しない