長く住まえる住宅を目指して

住宅を扱う仕事に携わっていると、
よくお客様から「この家はどのくらいもちますか。」
というご質問をいただくことがあります。
ほとんどの方が一生に一度の買い物となる住宅には、
やはり高い耐久性を望まれていると思います。
いろいろな不動産ポータルサイトを見ても、
常に上位には「耐久性」というワードが入っています。
では日本の住宅の「耐久性」はどのくらいなのでしょうか。

試しにインターネットで検索してみると、
「今の木造住宅の寿命は30年程度である。」というのがよく出てきます。
もっと見てみると
「欧米では住宅は100年近くもつし、伝統的な日本家屋も100年以上健在である。
だから今の日本の木造住宅の質は悪くなっている。」
等の批判も出てきました。

伝統的な日本家屋の例 ※wikipedia掲載画像

住宅を購入される方の中には35年の住宅ローンを組む方もいらっしゃいます。
それよりも短い30年で住宅の「寿命」が来てしまうのでしょうか。

少し古い資料ですが、2005年の国土交通省の資料をみると、
直近5年間における日本の
「滅失住宅の平均築後年数(新築されてから壊されるまでの平均年数)」
は30年と記載されていました。
アメリカは55年、イギリスでは77年となっています。
これが日本の住宅の「寿命」が30年程度とされ、
欧米の住宅よりも質が悪いと言われる理由でしょうか。

ここで住宅を建て替えるという観点で、日本の住宅供給について話してみます。
日本の場合、敗戦後の焼野原からの復興、そして高度成長期の都市部の住宅供給
というものが大きな課題となっていました。
戦時中、日本では200万戸以上の住宅が空襲等により焼失しています。
敗戦後はとりあえず雨露をしのげるバラックと呼ばれるような住宅が大量に造られました。
そして、復興を遂げた大都市部はそれなりに住宅が供給されていましたが、
高度成長に伴う人口流入によるさらなる住宅の供給が必要となってきます。
昭和41年には住宅建設計画法が制定、
この法律に基づいた「住宅建設5箇年計画」が策定され、
高度成長期の大都市への住宅供給が行われてきました。

公団住宅 ※wikipedia掲載画像

この間、日本人の生活水準は上がり生活スタイルも大きく変わっています。
そのため、古い住宅は新しい生活に合わなくなり、
より新しい、広い、質の高い住宅へと建て替えられていきます。

たとえば、昔は1家族1住戸で1~2部屋、食寝一体でした。
それが食寝分離したDKタイプの間取りが多くなり、
お茶の間で家族の団らんが行われるようになりました。
そして核家族化が進み、住まい方が変わっていきます。
食事をする場所と居間の部分を分離し、
広い空間を確保したLDKのスタイルが登場しました。
さらに個人の部屋を持つようにもなってきます。
このように生活水準や住まい方の変化に伴い、
狭い家から広い家へ、また間取りの変化も進んできました。
住宅の建て替えは、家の構造がもたなくなったからされているのではなく、
こうした生活スタイルの変化に対応できなかったためではないでしょうか。

現在の一般的な木造住宅を耐震性や劣化の度合い等の観点から見ると、
耐久性は昔に比べ非常に高くなっていると思います。
また、住宅の構造として住めなくなるまでを住宅の寿命とするならば、
この30年という数字よりはるかに長いでしょう。
しかし、先述のように新築されてから取り壊されるまでの期間で考えると、
とても短くなっているのが現状です。
生活スタイルの変化や家族構成の変化、子供が成長して家を出ていく等、
今住んでいる家に対しての需要が家族の中でなくなっていく。
それが住宅の「寿命」を短くしているようにも思えます。

当社の分譲住宅では

①土地の仕入れ 住宅地として、最適となる土地であるか ②企画・設計
 この家ではどのような生活が展開され、将来どのようにかわっていくのか
 そのためにはどのような空間とするか

③建築・施工
 長く住めるしっかりとした造りとするため、
 施工レベルをより高くしていくのにはどうしたらよいか

④アフターサービス
 長く住んでいただけるためのアフターサポートはどのようにするか

このようなことを各部門で考え、そしてより高いレベルの家づくりができるよう、
日々地道に努力をしています。
そしてお客様がそこに長く住んでいただけるよう、
一貫した家づくり、そしてサポート体制を整えております。

我々が建築した住宅には長い間残ってもらい、その都市の発展に貢献してもらいたいものです。
そのためにも次の代でも愛着が持てる家づくりを続けていければと思っています。
今のままでは住みづらくなっても少し手を加えればまた愛着のある我が家になる。
そんな家となってくれれば幸いです。

当社施工例