世界最大の家具専門店、イケアの日本法人であるイケア・ジャパンが1月10日、
東京電機大学・日本大学・芝浦工業大学との「子ども室」に関する共同研究の中間発表会を開きました。
研究の中で、子どもたちはリビングなどで遊びや勉強を日常的に行い、
子ども室はモノを置くための場所になっていることが明らかになったそうです。
住宅を設計している私達としては、とても興味深い研究です。
“子ども室で宿題をする女子は少ない”
“宿題をする場所は男女とも居間”
これは日本大学の研究室が、自身の大学の学生180人(駿河台・郡山キャンパス)を対象に、
自分が育った住まいと子ども室に関する調査をして得られた結果です。
その結果の一部を参考までにご紹介します。
放課後過ごした場所
男子 友達の家(28%)公園(21%)自宅(18%)
女子 自宅(27%)公園(21%)友達の家(16%)クラブ・習い事(16%)
家で宿題をした場所
男子 居間(48%)子ども室(30%)食卓(5%)
女子 居間(61%)専用の机(13%)食卓(8%)子ども室(8%)
教材・ランドセル置き場全体
子ども室(61%)居間(17%)玄関・廊下(10%)
帰宅後、主に過ごした場所
全体 居間(68%)子ども室(15%)食卓(7%)
将来、住まいで最も大切にしたい室
全体 居間(58%)子ども室(23%)和室(7%)
ここから読み取れるのは居間で宿題をする子どもが多いということです。
特に女子は、男子に比べてその割合が高いです。
また宿題以外でも、主に過ごした場所や大切にしたい室で、居間が高い割合を占めています。
居間は、〝家族全体”の団欒の場となることはもちろんですが、
〝個”としての生活の中でも中心になっているようです。
芝浦工業大学の清水准教授は以下のように述べています。
「LDKは、食事をつくって食べ、くつろぐだけではなく、さまざまな行為とモノが並存する場。
建築する側の思いどおりには使われていない」LDKに対する固定概念を取り払わなければいけないと、
改めて感じさせてくれる一文です。
様々な行為を想定して、和室・LDKを一体的なワンルームのような間取りにしたり、
勉強するためのスタディコーナーを設けるといった、行為に対する設計は考えられていても、
モノに対する設計というのは、意外に見落としがちかもしれません。
例えば、本を読む、宿題をするといった行為には、本や教材、鉛筆、消しゴムといったモノが
必要となります。
そういった小物の置き場が必要なのは、果たして子ども室なのか、それとも居間なのか、
もしも宿題をする場所が居間ならば、本や筆記用具を収納できる場所も居間であるほうが自然ですよね。
〝LDKにおけるモノとの共存”というのは、
今後住宅を考えていく上でとても重要なキーワードであると感じます。
アグレシオ鷹の台ヴェルデパウザでは、
〝リビング主義”といったコンセプトを掲げています。
その中で 〝LDKにおけるモノとの共存” についても考慮しながら設計をしたので、
是非ご覧になってみて下さい。
設計 小田