定年後から家を買う、リバースモーゲージという選択肢

皆さんは初対面の方と話していて、相手の年齢を聞いて驚くことはありませんか?
私は普段、不動産販売の営業職として様々な年代のお客様とお会いし、年齢の高いお客様と接する機会もあるのですが、実際の年齢より若く見える方がとても多いように感じています。

「高齢者」は何歳から?

内閣府でこんな統計があります。
「高齢者の日常生活に関する意識調査」において、「Q.自分が高齢者だと感じますか」という問いに対して、「はい」か「いいえ」で答えるものです。

現在日本の法律で「高齢者」の定義は統一されていませんが、65歳が目安となっています。健康保険制度では、「前期高齢者」は65歳から74歳、「後期高齢者」は75歳以上を指します。労働関係では、「生産年齢人口」は15歳から65歳未満で、65歳以上は生産年齢人口から外れています。道路交通法の「高齢運転者標識」や東京都の「シルバーパス」は70歳以上を対象としています。

統計の結果、「自分が高齢者だと感じる」割合が過半数を占めたのは、75歳以上からでした。65歳の段階で、自分が高齢者だと感じている人は24.4%に留まっています。

出典:「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」(内閣府 政策統括官)より
参照元:https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h26/sougou/zentai/index.html

アクティブシニアの増加

高齢者数においては、「きんさんぎんさん」が注目された2000年初頭、100歳以上の人口は1万3036人でしたが、2021年9月時点では、約6.6倍の8万6510人となりました。

「男女別百歳以上高齢者数の年次推移(令和3年9月14日発表) 厚生労働省」より当社作図
参照元:https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/000672203.pdf

心身ともに若々しい方が増え、2022年4月から年金の繰下げ受給が75歳まで延長され、また、定年も70歳まで延長されるなどの就業環境の変化もあります。より長く、よりアクティブなライフプラン設計が望まれる今、住宅も一生に一度の買い物ではなくなりつつあるように見受けられます。

定年退職された後、新たな土地でゆっくり過ごしたいという方もいるのではないでしょうか。しかし、新たに住宅ローンを組み直すことに抵抗を感じる方も少なくありません。そんな方に「リバースモーゲージ」という制度をご紹介します。

リバースモーゲージとは? 

通常の住宅ローンは、金融機関に住宅購入資金を一括で借りて、毎月一定額お金を返済します。反対にリバースモーゲージは、住宅を担保にして、毎月一定額お金を受け取ります。 そのため、リバース(逆の)モーゲージ(担保)という名称がついています。 

より具体的に書くと、「 すでにローンを完済しており、持ち家という資産はあるけれど現金がない」という方に向けて自宅を担保として生活資金を貸してくれる制度です。 

リバースモーゲージ型住宅ローンとは? 

リバースモーゲージは既に家をお持ちの方に向けたものでしたが、この仕組みを住宅ローンに活用した商品を「リバースモーゲージ型住宅ローン」といい、新しく購入する住宅を担保にお金を借りるというものです。月々のお支払いについては住宅ローンのように 「元金+利息」の返済ではなく「利息のみ」の返済のため、支払い負担が抑えられます。また、諸費用も通常の住宅ローンに比べてかなり抑えられます。そして元金は、借入人がお亡くなりになられた後に相続人の方に一括してご返済いただくか、担保となっていた物件を売却し、その売却益で返済します。

対象年齢も50歳以上()で、上限はありません。ただ頭金として、金融機関によっては、物件金額に対して半分の額を用意する必要がありますのでご注意ください。月々の支払額については、ご検討された際にぜひ担当者にご相談ください。
金融機関によって対象年齢は異なります。

リバースモーゲージは罠か

インターネットで「リバースモーゲージ」と検索すると、候補で「罠」「やばい」などが出てきます。ひょっとすると、ここまでお読みの方の中にはリバースモーゲージに対してマイナスな印象を抱いている方もいらっしゃるかも知れません。

リバースモーゲージは基本的に変動金利で、支払い額は市場の動向によります。 そして利息を支払い続けるため、長生きをすればするほど支払う金額が大きくなるというリスクもあります。

ただ、デメリットばかり追ってしまうのももったいない話です。

・リフォームしてバリアフリー住宅にしたい
・お子様の独立を機に、現在の家族構成にあった広さの家に住み替えたい。

そういった理由で、住宅が欲しいけれどローンを組むことが難しい方でも、取得という選択肢が加わります。 また利息のみの支払いのため、減らすという概念がなくなります。そして年齢による借入の制限もございません。そのため住宅ローンにつきまとう「時間の概念」から解放された「いつ組んでもよい」商品であるといえます。 リバースモーゲージ型住宅ローンは通常の住宅ローンと違い、団体信用生命保険に入る必要がなく、お体の健康状態が審査対象とならないため、過去に病を患った方が健康面で断念することもございません。

リバースモーゲージは、メリット・デメリットのある商品ですが、仕組みをしっかりと理解し、ライフプランを考えた際に、一つの選択肢として検討してもよい制度ではないでしょうか。 自分にとって大事なものは何か、それを実現する上で手段として使えるか、ぜひ考えてみてください。

定年退職をした後も自己管理・自己責任が求められています。人生100年時代と呼ばれる今だからこそ、新たなチャレンジや幸せな人生を送るための、定年退職後のライフプランをより自由に設計してみるのはいかがでしょうか。
                               東京支店 営業 I・Y