住宅購入資金の「贈与税」は非課税にできる? 制度適用の条件とタイミング、確定申告について

住宅を購入する際は大きな資金が必要となるので、「親や祖父母から援助を受けたい」と考える方も少なくないでしょう。
ただ、ここで気になるのが贈与税です。場合によっては、援助された側に高額の贈与税がかかることがあるため注意が必要です。

今回は、一定の条件を満たせば非課税で贈与を受けられる「住宅取得等資金の贈与に関する非課税措置」について、その仕組みや条件から手続きの方法まで、わかりやすく解説します。

Q1.住宅取得資金の贈与税が非課税になる「特例制度」って何?

住宅を購入する目的で、親や祖父母などから資金援助を受けると、「贈与税」の課税対象となります。
ただし、ある特例制度を活用すれば、一定額まで贈与税がかかりません。それが「住宅取得等資金の贈与に関する非課税措置」です。

一般的に資金援助や新築祝いとしてお金を受け取った場合、非課税となるのは年間110万円と定められている基礎控除の範囲内に限られます。しかし、この特例では一定の条件を満たすことにより、最大で1,000万円まで非課税となるのです。

この制度は若年層や子育て世帯の住宅取得を支援するとともに、持ち家を通じて安定した暮らしを実現してもらうことを目的としています。少子高齢化や住宅需要の減少が進む中で、親世代の資産を円滑に子世代へと引き継ぐ狙いもあります。

住宅購入にあたって資金援助を受ける予定があるなら、ぜひこの制度を正しく理解して上手に活用しましょう。

Q2.非課税が適用される条件と対象となる住宅の要件は?

「住宅取得等資金の贈与に関する非課税措置」制度を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。その条件は①受け取る側(受贈者)②贈与する側(贈与者)③住宅そのものの要件という3つに大きく分類できます。

①受贈者(もらう側)の条件

資金援助を受け取る人は、次の条件をすべて満たさなければなりません。

  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
  • 所得金額の合計が2,000万円以下(条件によって例外あり)であること
  • 登記上の持分を取得すること

②贈与者(あげる側)の条件

この制度を活用する場合、贈与する人はもらう人の「直系尊属」に限られます。
直系尊属というのは父母・祖父母など、自分より前の世代で親子関係が直通する親族のことです。養父母も含まれますが、叔父や兄弟、義理の親からの贈与は、対象外となります。

家族間の関係が複雑な場合は登記上の関係や戸籍で確認しておくと安心です。

③住宅の条件

住宅については新築住宅や中古住宅、増改築・リフォームも対象となりますが、次の基準を満たす必要があります。

  • 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
  • 住宅の品質や性能が一定基準を満たしていること(省エネ・耐震など)
  • 贈与された全額が購入対価に充てられていること

制度を十分活用するため、それぞれの条件をよく調べ、正確に理解しておきましょう。

Q3.贈与税の非課税限度額と適用時期のポイントは?

この制度における非課税額には限度額があり、契約日や登記完了日も重要です。
他の制度と併用できるかも確認しておく必要があります。ここからは、その活用のポイントを解説します。

●贈与税の非課税限度額

この制度では非課税の限度額が住宅の性能によって異なります。

例えば、省エネ・耐震・バリアフリーなどのいずれかの基準を満たす「質の高い住宅*」であると証明されれば、最大1,000万円までが非課税となります。一方、それ以外の一般住宅では500万円までです。
住宅の状況によって上限が大きく異なり、それぞれ満たしておくべき要件も決められているので、自分が取得する住宅はどこに当てはまるのか確認しましょう。

なお、アグレ都市デザインの住宅「AGRATIO(アグレシオ)」については、上記基準のうち「省エネルギー性能」を満たしており、最大1,000万円までが非課税になります。

*省エネ基準などを証明する書類(建設住宅性能評価書など)は、原則として住宅の引き渡し前に手配や発行が必要になる場合があります。担当の営業担当者に早めにご確認ください。

●贈与と住宅取得のタイミング

制度の適用には「贈与日」「契約日」「入居日」という3つのタイミングが重要です。取得した住宅は贈与を受けた年の翌年3月15日までに引き渡しを受け、実際に入居・居住していなければなりません。

贈与は、原則として『住宅の引き渡し(残代金決済)』の直前に行い、その資金をそのまま支払いに充てるのが最もスムーズで確実です。早すぎると『住宅取得に使っていない』とみなされるリスクがあるため、通帳の履歴が分かるように管理しましょう。

また居住開始日が遅れると、制度の対象外になることもあるため、スケジュールを逆算して準備しましょう。契約後はできるだけ早く入居できるようにしたいものです。年度をまたぐ場合は特に注意が必要です。

●他制度との関係

贈与税に関しての制度には、ほかにも「暦年課税制度(年間110万円の基礎控除)」と「相続時精算課税制度(生涯で2,500万円まで非課税)」の2つがあります。

「住宅取得等資金の非課税措置」は、これらと併用することが可能です。
しかし、適用順序や条件を誤ると、課税対象になる場合があります。相続との関係や、将来的な資産承継を見据え、慎重な計画を立てましょう。

なお、この制度はこれまで何度か改正されており、今後も改正や見直し・廃止などの可能性があります。国税庁のWEBサイトで最新情報をご確認ください。

Q4.贈与税の非課税制度を受けるための確定申告と注意点とは?

特例の適用を受けるためには確定申告が必要です。納税額がゼロだからといって申告をしないと制度が適用されず、贈与税が課されてしまうことになりかねません。ここでは確定申告の流れと注意点について解説します。

●申告の流れ

贈与税申告の流れは以下の通りです。

  1. 贈与を受けた年の翌年に受贈者の居住地を管轄する税務署へ確定申告
  2. 必要書類をそろえて申告書を提出
  3. 税務署の確認・受理を経て非課税が適用される

●提出が必要となる主な書類

  • 贈与契約書(贈与の内容と日付が明記されたもの)
  • 住宅の登記事項証明書
  • 住宅性能証明書や長期優良住宅認定通知書など(該当する場合)
  • 贈与資金の振込記録や領収書類

そのほか、贈与した人の戸籍謄本や、贈与された人の所得金額を明らかにする書類なども添付する必要があります。こうした書類の一部は、住宅メーカーや金融機関で取得することが可能です。

申告の期間は原則、贈与を受けた翌年の2月16日~3月15日までです。提出期限に間に合わなかったり、必要書類に不備があったりすると、非課税措置が無効になる恐れがあります。

●申告漏れ・条件不備にも注意

贈与されたのに申告をしなかったり、申告内容や条件に不備があったりすると、税務署からの指摘を受ける可能性があります。

トラブル防止のためにも、資金援助を受ける場合は、贈与契約書を作成し、贈与の事実を明確にしておきましょう。贈与契約書には日付を明記し、さらに金融機関を通じての振り込みなど、記録が残る方法で資金を受け取ると安心です。

まとめ

住宅を購入する時に資金援助を受ける際は、贈与税の非課税制度を適用することで、大きな節税効果が期待できます。ただし、その場合は年齢や所得、住宅の要件、入居時期など、複数の条件を満たす必要があり、確定申告も欠かせません。
家族や税理士、住宅会社などと早めに相談し、制度の内容を十分に理解しましょう。そのうえで無理のない資金計画を立て、安心して新居の準備を進めることが大切です。

(※記事の内容は2025年11月現在のものです。)

記事監修:石坂貴史
IFA、2級FP技能士、AFP、マネーシップス運営代表者。累計1,100件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。金融、不動産、保険、相続などのFP分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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