今年もまた梅雨の季節がやってまいりました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
前々回、ニューヨークの公共空間であるハイラインについてのブログを書かせていただきました。
前々回:ハイライン
また弊社では毎年海外研修に行っており、昨年はニューヨークに行き、
実際にハイラインを視察しましたのでその時の感想を書かせて頂きました。
前回:ハイライン視察
今回はこのニューヨークで最も注目されていると言っても過言ではないハイラインの終着点で、
今現在多くの再開発事業が行われているハドソンヤード地区の中で個人的に着目しておりました
「スパイラル」というオフィスビルの計画について、簡単にご紹介したいと思います。
スパイラルは、海外設計事務所のビャルケインゲルスグループ(BIG)が設計し、
現在計画中である文字通り「螺旋状」のオフィスビルです。
このスパイラルのメインコンセプトは、ハイラインと「繋がる」事です。
スパイラルの計画地はハイラインから近い位置にあるため、俯瞰して眺めると、
ハイラインの緑道が高層ビルに巻き付き、上昇しているように見えます。
この螺旋状の緑地は、オフィスの内外部において様々な効果を生み出します。
この緑地の螺旋は、上昇するにつれ縮まる事でロックフェラーセンター
(同じくニューヨークに昔からある高層ビル)のような特徴的なシルエットを形成し、
従来の単調な外観の高層オフィスビルが立ち並ぶ街並みにならないようデザインされています。
外部に設けた緑地のテラスは、段々になっているため見晴らしが良く、
ニューヨークの街並みを一望できるような空間となっています。
この空間は、スパイラルで働く人々にとって良い気分転換となるのではないでしょうか。
またこの緑地は内部空間とそのまま繋がっており、内部は2層分のオープンスペースとなっているため、階層間で繋がりが生まれます。
この空間は休憩スペースや、気楽に打ち合わせが出来る場として利用され、
階層間の人々がコミュニケーションを取る事を促しています。
近年は人と人とのコミュニケーションがより重要となっているため、
このような気楽にコミュニケーションを取れる空間は今後必要になってくるのではないでしょうか。
私もこのようなニューヨークの都市を一望でき、気持ちのいい風を感じる事の出来る環境がある
オフィスで働けたらいいなと思います。
このように、スパイラルは従来のオフィスビルと大きく異なる斬新な計画ですが、
物理的にはハイラインと繋がっていないため
外周部のオープンスペースに一般の人が立ち入る事が出来ない点や、
外周部に階段を設けていないため外を眺めながら登っていく事が出来ない点など、
幾つかの点において現実的な制約が加わっている事を感じます。
スパイラルが直接ハイラインと繋がり、オフィス内部にも一般の人々が入り込み、
ハイラインで行われているアクティビティー(ジョギングなどの運動、休憩、展示、
ワークショップなど)がスパイラル内部でも展開したら面白かったのではないかと、
個人的には思います。
近年では、一般の人々と企業が意見を出し合うような空間を、
オフィス内部に設けている事例が多くあります。
そこでワークショップ等を行う事で、新たなアイデアが生まれる事があると思います。
弊社ではお客様と直接打ち合わせをする場所として各支店にショールームを設けていますが、
今後は新たなアイデアを取り入れるためにも、
ショールームのキッチンを利用して料理教室を開催したり、
間取りについてのワークショップを行うなどの、
お客様と一体となったイベントを開催する事も場合によっては考えなければならないと思います。
今後はそのようなお客様の意見を取り入れた住宅の提案も、していければと思います。
余談になりますが、このスパイラルを計画したBIGは、
有名建築家であるビャルケ・インゲルス率いる建築設計事務所です。
彼らのプロジェクトは、メビウスの輪のような建築や、レゴを積んだような建築など、
いずれも独創的で斬新であると共に、プレゼンテーションのレベルが高く、
上記のようなイメージCGや、ダイアグラム(建築の成り立つプロセスを説明する図)など、
いずれも質が高く分かりやすいものとなっています。
ご興味のある方は是非、BIGの他のプロジェクトもご覧下さい。
参考
http://www.big.dk/
https://www.thespiralny.com/home/
https://ny.curbed.com/2016/2/8/10940726/behold-the-spiral-bjarke-ingelss-terraced-addition-to-hudson-yards